行政書士に不動産の相続を依頼 ~司法書士と行政書士の違い~
- 投稿日:2024/10/18
以前、私の知り合いの方のご紹介で「前橋の行政書士に不動産の名義変更(相続登記)を頼んだけど費用が高い気がする。適正かどうか聞きたい」というお客様がいらっしゃいました。本来であれば適正な価格かの判断はしないのですが、知り合いの紹介ということで話を聞いてみることにしました。(その行政書士さんをフォローする目的もありました)
当事務所にお客様がいらっしゃいました。
話のポイントを整理しますと
・前橋の行政書士に不動産の名義変更(相続登記)をお願いした
・遺産分割協議書を作り、戸籍集めなどはしてくれた
・費用として15万円くらい
・しかし、肝心の名義変更は司法書士に自分で頼んでくれと言われた
・このことはその行政書士に頼んだ時に説明がなかった
まず、大前提として行政書士は相続登記はできません。下にあるように外注などしているか、お客様自身がすることになると思います。
お話をお聞きすると、正直、酷い話だなと思いました。
話を聞く限りの事案で、多額の戸籍代や郵送料がかかっていると思えませんでしたし、依頼される前にどこまでできるのか説明すべきだからです。
私が知っている行政書士さんは許認可や外国人の手続きを専門にされている方なのでこのような話を聞いたことがありませんでした。私はこちらのお客様には「あまり人様の仕事の費用について言いたくないのですが…さすがに高いと思います…」「どこまでできるかは説明するべきだと思います。」とお伝えしました。
ですが、このようなトラブルは当事務所では対応できないため、消費者相談センターや弁護士の法律相談をご案内させていただきました。
(個人的な感想ですが、情弱ビジネス、消費者被害だなと…)
このように、行政書士では不動産の名義変更はできません。
しかし調べてみると以下のような事例がありました。
・行政書士から司法書士に依頼している。
この場合、直接司法書士に依頼した方が安くなることがほとんどです。
人件費を考えてみてください。二人雇うより一人の方が安いはずです。
・相続紹介会社が行政書士を一般客に紹介し、見返りに行政書士が紹介会社に紹介料を支払っている。
結構な金額だと聞きます。司法書士は司法書士法という法律において紹介料の授受を禁止されていますが、行政書士法には明文化されていません(不当な手段で仕事を受けてはいけないということはかかれているのですが、紹介料の授受はそれに当たらないと解釈しているようです)
行政書士以外にもFP(ファイナンシャルプランナー)、相続診断士(民間資格)などが上記のやり方をしていることがあるようです。
【追記①】
行政書士や民間資格以外にも相続業務に乗り出す事業者は後を絶ちません。
相続業務のことを「遺産承継」や「遺産整理」などと呼ぶこともあります。
昨今では金融機関や証券会社もこれらの相続業務に乗り出しています。
「銀行 遺産整理」と調べてみていただくとわかりますが、金融機関の相続業務は最低でも100万円が目安です。
しかも金融機関では相続登記申請や相続税申告はできないため司法書士や税理士など外注しています。
このときの外注する費用に上記の100万円は含まれません。
ある銀行のCMで、「相続は銀行に任せる!」とお父さんが言っているのを見たことがありますが、私の父親や親戚がそんなことを言い始めたら、全力で止めます。
【追記②】
お葬式屋さん・葬儀会社も相続の相談を受け付けているところがあります。
これも紹介料がかなりのものだと聞きます。お葬式屋さんも(昔ほど利益がなく)熱心に相続の相談に乗っているところもあります。
大体のケースでは行政書士や税理士を紹介し、そこから相続登記は司法書士に流れているようです。
私も知り合いにお葬式屋さんはおりますが、良くしてやってくれとは言われるだけで、無論、このような金銭の授受はしていません。ですので、全ての葬儀会社がやっているわけではありません。
このようなトラブルや高額な費用を避けるなら是非、当事務所に依頼してください!
とは言いません。(言いたいところですが)
ですが、
下記のことは絶対に確認するようにしてください。
・どこまでやってくれるのか(外注に出すのか)
・費用は妥当なのか
・裏でお金が動いていないか
これらについてきちんと説明を求めていただければ上記のようなお客様は減らせると思い、この記事を書かせていただきました。