登記なんて簡単!? 前橋の相続手続きなら【司法書士行政書士いだ事務所】
- 投稿日:2024/11/04
唐突なお話ですが、相続登記など不動産の名義変更や会社設立の登記手続きの難しさって何だと思いますか?(これらのことは以下「登記」とします)
・書類を集めるのが大変
・書類を作るのが大変
・印紙代を用意するのが大変
・法務局に行く時間がない
などなど様々な難しさがあると思います。
しかし、私が考える登記の難しさとは、
内容が良くなくても登記ができてしまう。
ことだと思っています。
以下、事例でご説明します。
【事例1】
・父親が亡くなり、母親と長男が相続人
・遺産としては実家の土地建物と、長男の自宅の敷地の土地がある。
・実家は母親、長男の自宅は長男に名義変更したい。
・民間企業の相続登記サービスを利用した
親子は「このように遺産を分けたいという考え→書類作成」という経緯があります。この場合、遺産分割協議書という書類を作る必要があります。
この書類に上記の分け方を記載する必要があります。もし、この分け方を「実家は長男、長男の自宅の敷地の土地を母親」というように逆に記載し、他の書類も整えて、法務局に提出したらどうでしょう?
「そんなの、法務局が教えてくれて当然だろ!!」と思うかもしれません。
しかし、教えてはくれません。これは違法でも、ましてや法務局の怠慢でも何でもありません。
「実家は長男、長男の自宅の敷地の土地を母親」と記載された遺産分割協議書は長男や母親にとっては内容が間違っていますが、法務局からしてみたら「形が整っているから」有効に成立しているものだと判断せざるを得ません。法務局は形が整っているかどうか(実印かどうか、相続人全員分あるか)以外は確認しないのです。これを難しい言葉で形式的審査権といいます。
嫌な言い方かもしれませんが、書類作成に至った経緯や考え(母親が住んでいるから実家は母親の名義にしたい)など法務局は知ったことではないのです。
次に会社設立の場面で見てみます。
【事例②】
・資本金の額1000万円で会社を作りたい
・役員と株主は夫婦二人
・株は夫が70%、妻が30%を持つ
・民間の設立サービスを利用した
このご夫婦は民間の設立サービスに言われるがまま、書類を集めたり、口座に入金などをしました。ですがその内容は「株式を夫婦で半々持つ」というものだったのです。
この書類で会社は設立できるでしょうか?【事例1】で説明した通り、法務局はご夫婦にとって内容が正しいかまでは見てくれません。無事に(?)会社設立はできてしまいました。
そしてこのご夫婦は確定申告のときに株が半々になっていること、そして税金が割高になっていることに気付いたのでした…。
※事業をやっている人が言われるがまま書類に捺印や入金するなんてことはしないと思いますし、税務署や税理士さんに相談すると思いますが、事例としてあげさせていただいています。
このように、内容が間違っていても登記はできてしまうのです。
これをミスなくこなすことが我々司法書士の仕事です。