遺言について
司法書士・行政書士いだ事務所では、本ページにあるようなケースにおいて「遺言書の作成」をお勧めしております。
遺言というと、不吉なもの(いわゆる遺書)のように捉える方もいらっしゃいますが、遺されたご家族や親戚等各方面の方々が困らないために準備しておくものであるとお考え下さい。
このページでは、その必要性や業務内容・費用についてご説明します。
遺言が特に威力を発揮するのは、当事務所の経験上、ご夫婦に子供がいない場合です。
後述しますが、子供がいない場合、亡くなった人の配偶者と亡くなった人の親または兄弟姉妹(甥姪)とがやりとりをする必要があります。(詳しくはコチラ)
また、独身で親も兄弟姉妹(甥姪)もいない、つまり相続人がいないとなるとその人が亡くなった際には家庭裁判所にて手続きをする必要があり、必ずしも遺産が手に入るとは限らないことになりかねません。(詳しくはコチラ)
遺言があったことによってそのような煩雑な手続きや普段関わりがない方々とのやり取りが不要になったケースはたくさんあります。
遺されるご家族ご親戚がスムーズに手続きを進めてもらうために遺言をご検討ください。
その他、お勧めしたいケースとして
①離婚しており、前配偶者との間に子供がいる場合
②相続人の中に障害のある方、認知症の方がいる場合
③相続人の中に行方不明者、生死不明者がいる場合
④内縁関係である場合
⑤会社経営者や個人事業者
があります。※上記の下線部分から該当部分へ切り替わります
自分で手書きする遺言と公証人役場でつくる遺言がありますが、費用はかかっても公証人役場で作ることをお勧めします。詳しくはコチラです。
公証人役場で作った後は各自保管していただきます。失くしてしまったとしても作成後150年くらいは公証人役場にて再発行(有料)が可能です。
遺言執行者(遺言の内容を実現する人のこと)については遺産を貰う人を指定しておくのがベターかと思います。
それ以外の第三者(司法書士など各士業、金融機関など)を指定することも出来ますが、余程の事情がない限りは貰う人を指定しておけば大丈夫です。
以下、詳しいご説明をさせていただいております。
1.遺言書はどうして必要?
相続手続きには、基本的に法定相続人全員の関与や実印の捺印が必要です。
代表的なケースとしては①相続人の誰かが納得いかずハンコを押してくれないから手続きが進まないケースがありますが、②相続人に事情があって手続きが進まないというケースもあります。
近年は②の側面を知らない人が多いと感じることが多いです。
また、相続関係にある人がいない場合は以下をご覧ください。
2.家庭裁判所の予納金は100万円
そもそも相続人がいないというケースもあります。
一人っ子で両親は既に他界してご自身に配偶者も子供もいないケースや、兄弟はいたが既に亡くなっており甥姪もいないというケースです。
このような場合、「相続人不存在」として、相続人財産清算人という人を家庭裁判所に書類を提出して選任する必要があります。
この際予納金が必要となるのですが、目安としては100万円です。
お金で解決できればまだいい方で、確実に遺産が手に入る、お世話をしてくれた人のものになるとは限りません。
このような手続きを回避し、法定相続人ではない人に遺産を残したい場合は、遺言を書いておく必要があります。
3.その他、お勧めしたいケース
子供がいないご夫婦
家系図①
亡くなった人に子供がいない場合、相続人は配偶者と亡くなった人の兄弟姉妹(親が健在であれば親)となります。
家系図①を例にいえば、夫Xが死亡した場合、配偶者である妻Yは必ず相続人となります。
他に相続人となるのは、健在であれば両親AとBが、両親AとBが既に他界していた場合には、兄弟C、甥であるF(代襲相続)となります。
なお、両親と兄弟が一緒に相続人となることはありません。
配偶者から見れば義理の兄弟姉妹または義両親とやり取りする必要があります。
普段から交流があればいいのですが、ない場合も多く、中には連絡先を知らないという方もいらっしゃいます。
離婚しており、前配偶者との間に子供がいる場合
家系図②
亡くなった人が離婚していた場合、前配偶者は相続人にはなりませんが、前配偶者との子供は相続人となります。
家系図②を例にいえば、父(夫)Aが死亡した場合、相続人となるのは現配偶者B、AとBの子供D、E、そしてAと前妻との子供Cです。前妻Fは相続人ではありません。
このケースはあまり交流がないことが多く、配偶者やその子供たちからすれば存在自体知らないこともあり、手続きが進めづらくなるのが一般的です。
相続人の中に障害のある方、認知症の方がいる場合
法定相続人にこのような方(以下、「ご本人」とします。)がいる場合、家庭裁判所に書類を提出し、後見人という人を選任します。
(後見人とはご本人の財産を、ご本人に代わって管理する人のことだとお考え下さい。もちろんご本人の通帳などをお預かりします。)
専門職(弁護士や司法書士)が選ばれるケースもあれば、ご家族が後見人になるケースもございます。
しかし、後見人制度には利用しにくい点があり、専門職が後見人となる場合、ご本人が亡くなるまで報酬を払う必要があることです。この報酬額は家庭裁判所が決定します。
ご本人の財産が多かったり、ご家族の方がご本人の財産と自分の財産をごちゃ混ぜにしている場合、専門職が選任されることが多いです。
誰が後見人になるかも家庭裁判所が判断します。
なお、遺産分割(遺産の分け方を決めること)を行う場合はご本人に法定相続分を確保する必要があります。
例えば、認知症の妻の面倒をみていた夫が先に亡くなり、法定相続人として他に子供がいるという場合には、妻(母親)に夫(父親)の遺産の2分の1を取得させる必要があります。
当事務所の後見人のケースは遺産分割をきっかけとするものが大半です。
後見人に当事務所がかかわるにしろ、ご家族がなるにしろ、手続きが終わるのにかなりの時間がかかります。
遺言を書いておけば、後見人を選任せずともスムーズに手続きを進めることが出来ますし、誤解を恐れずに言えば「配偶者やお子さん等の相続人が認知症などの障害が出てしまったら遺言を書くべき」と考えます。
相続人の中に行方不明者、生死不明者がいる場合
法定相続人の中に行方不明者や生死不明者がいる場合には、行方不明者を探し出し、見つからない場合には家庭裁判所において手続きが必要です。
行方不明者は遺産分割に参加することは出来ません。
代わりに遺産分割に参加する人を家庭裁判所が選任します。
このケースにおいても法定相続分を取得させる必要があります。
遺言があればスムーズに相続手続きをすることができます。
内縁関係である場合
内縁関係である場合、相続人にはなりません。
いわゆる籍を入れていないと相続人とはならないのです。
しかし、遺言を書いておけば内縁関係であっても遺産を遺すことが可能です。
(この場合は、相続ではなく遺贈となります。)
※相続と遺贈の違い
法定相続人の誰かに遺産を残すときは「相続」、法定相続人ではない誰かに遺産を遺すときは「遺贈」となります。
大きな違いとしては「相続」である場合には相続登記(名義変更)の印紙代が固定資産税評価額の1000分の4であるのに対し、遺贈である場合には1000分の20となることです。
(例:評価額が1000万円である場合には相続では4万円、遺贈の場合は20万円。)
また、遺贈の場合の相続登記(正確には遺贈登記、名義変更のことです)をするには遺言執行者がいればその者と遺産を受け取る人が、遺言執行者がいない場合には法定相続人全員や財産管理人、遺産を受け取る人との共同手続きが必要です。
法定相続人以外に遺産を遺す場合には、必ず遺言執行者を定めておくようにしましょう。
遺産を受け取る人を遺言執行者にしておくのがベターだと思います。
会社経営者や個人事業者、農業を営んでおり、跡取りに間違いなく継がせたい方
会社であれば株式の大半を現経営者(社長)が保有していることがほとんどです。
この場合、株式とは経営権または議決権のことだと思ってください。
しかし株式も遺産であり、遺産分割の対象です。
もし遺産分割ができない場合、会社の経営は不安定なものになってしまいます。
遺言を準備しておくことによって会社の経営権を間違いなく跡取りに継がせることができます。
また、農地については「どこどこの土地を○○に遺贈する」など法定相続人以外の誰かに遺したい場合には農地法の許可が必要になってしまうため配慮が必要です。
4.遺言書作成業務の内容と費用
①遺言書作成業務について
遺言書にはよく使われているものとして、大きく分けて2種類あります。
1つは手書きの自筆証書遺言、もう1つは公証人役場で作る公正証書遺言があります。
自筆証書遺言については法務局が保管してくれる制度があります。
当事務所では公正証書遺言のみ承っております。
公正証書遺言は、下記のように確実性、安全性、手続きの簡便さに優れています。
【自筆証書遺言と公正証書遺言の違い】
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | 法務局保管の 自筆証書遺言 |
|
---|---|---|---|
費用 | 財産の金額、ページ数に応じて費用が増加。 証人への謝礼も必要な場合がある。 |
基本的に不要 | 法務局に3900円 |
リスク | 公証人が遺言を作成するため、不備がほとんどない。 しかし、内容についてはよく吟味した方が良い。 |
自分以外確認する人がいない。 不備があれば無効になる可能性あり。 無くしてしまうと無効。 |
法務局にて捺印がされているかなどの確認はあるが、内容にはノータッチ。 |
保管場所 | 公証人役場 | 自宅など | 法務局 |
生前に他人に見られるか | 公証人及び証人が2名必要 | あまりない | 法務局の職員が見る |
死亡後の追加手続き | 謄本や正本があれば特段手続き不要、再発行可能。 ※相続人であることを証明する戸籍で足りる。 |
家庭裁判所において手続き(検認)が必要。 ※亡くなった人の戸籍が全て必要など、用意するものがある。 |
法務局において遺言書情報証明書を発行してもらう。 ※亡くなった人の戸籍が全て必要など、用意するものがある。 |
死亡後他の相続人に知られる可能性 | 通知などはないが、遺言執行者は通知が義務とされる。 | 検認の際に全相続人に通知(招集通知のようなもの)が届く。 | 発行してもらう際に全相続人に通知が届く。 |
②費用について
当事務所への費用は5万円~となります。
法定相続人がいない場合など、詳しく内容を検討する必要がある場合には追加費用がかかりますのでご了承ください。
ご希望に沿う内容の遺言作成をお手伝いします。
なお、金融機関において、公正証書遺言を預かるというサービスがございますが、失くしてしまったとしても公証人役場において作成後150年くらいは再発行(有料)が出来ますし、お預けする必要は一切ありません。
司法書士 行政書士 いだ事務所では遺言や死後のことの手続きに関する悩みや不安を、お客様と一緒に解決できたらと思います。
前橋をはじめ、玉村、伊勢崎、高崎など群馬全域でお仕事をさせていただいております。
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